エレキギターの中で、フロイドローズ(以下FRT)タイプのブリッジを搭載しているモデルは、弦の交換とチューニングが面倒だと感じる方も多いと思います。
今回は、簡単なチューニングについて書こうと思います。
かいつまんで言うと、ブリッジを好みの角度で固定してから弦の交換とチューニングを済ませ、固定器具を取り去って再度チューニングするというものです。
固定はただの布などでOKです。
私はこの方法で30年近くFRT(本家・ライセンス共に)を使用していますが特に問題が起こったり、演奏しにくい、チューニングが合わないといったことは一切ありません。
以下、詳しくご紹介します。
①アームを取り付け、ブリッジをネック側(弦がゆるむ方向)に倒し、ボディとブリッジの隙間を大きくして、クロスなどを挟みます。
そしてクロスの挟む量を調節し、ブリッジとボディが平行になる様にします。
専用のゴム板なども売っていますが特別便利な訳ではないのにほぼそれにしか使えないですしクロスの方が幅を調節できるので不要だと思います(一応持っていますが)。
しかし、1,000円ほどなので「専用器具」という響きに惹かれる方は購入されても良いかもしれません。商品名は「Shred NECK(シュレッドネック)」です。
②この状態で古い弦を外し、新しい 弦 に交換します。
FRTの弦交換のコツとして、1本外したら1本付けるを繰り返す、というものがありますがこの場合は一度に全部の弦を外してしまっても問題ありません。
③チューニングを済ませます。
音を合わせた後に弦を伸ばす作業をされる方はそれも行い、一度普段のチューニングの最終段階まで終わらせます。
もしこの段階でブリッジがダウン(ヘッド側に傾く)した場合はスプリングハンガースクリューを締めてブリッジを水平状態にしてください。
④ここで再度アームダウンし、クロスを取り除きます。
ブリッジが傾いて好みの角度でなくなった場合は、ボディ背面のスプリングハンガースクリューを回して角度を調節します。
⑤再度調弦してロックナットキャップを取り付け、ファインチューナーで微調整して終了です。
以下は詳しい解説ですが、面倒な方は読み飛ばしてください。
●FRTは調弦がなぜめんどくさいか
FRTタイプはスタッドを支点にブリッジがボディ表面では弦の張力、ボディ裏面ではスプリングによっていわゆるフローティング状態を保っています。
よって例えば6弦を調弦のため巻き上げてテンションが増すと、表面側の張力が増しブリッジは表面側に傾きます。
それを解消する為スプリングハンガーのネジを使って張力を調整するのですが、1本の弦を調弦する度に張力変化が起きるので「調弦⇔ハンガー調節」がいつまでも終わらない(水平なフローティングにならない)という事が起こり、これがめんどくさいとされている原因の1つです。
●なぜこの方法で簡単になるのか
いつまでもブリッジの調整が終わらない原因は、1弦づつの調整だと表面と裏面の張力の均衡が得られにくいからです。
そしてこの方法はブリッジを強制的に固定した状態で1〜6弦間の張力バランスを先に取っているので、その後ある1本の弦を調弦して一時的にバランスを崩しても最終的には全6弦のトータルの張力は最初にチューニングした状態に落ち着くのです。
その為、ブリッジを固定した状態で一度普段の最終段階までチューニングを終える必要があります。
●FRTの魅力
FRTは激しいアーミングでも音が狂いにくい点が良い点として挙げられます。
しかし私的には
①ネック角度が無いので、弦高が極端に低くセッティング出来る
(演奏性や音質的な理由で弦高が高い方が好きな方もいます)
②ブリッジとボディの差が少ないので弾きやすい
(これも好みによります)
の2点に魅力を感じFRT搭載モデルを使用しています。
音が均一的であるなど、音の面での好みもあるかと思いますが、チューニングとオクターブチューニングのうちチューニングの方だけでも面倒くささが少なくなれば、FRTの良い面やルックスの好みも考慮に入れ、初心者の方でも購入の選択肢に入るのではないかと思います。
完
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