ギターのスペック表を見ていると「スケール」という表記があります。
スケールとはドレミファソラシドの様な音階を指す言葉でもありますが今回は「弦長」とも呼ばれるほうのスケールについてお話ししたいと思います。
スケールとは一言で言いますとネットからブリッジまでの長さを指します。
メーカーによってはネット~ブリッジ間ではなくナット~12フレット間で表示している場合もありますが、ナット~12フレットはナット~ブリッジ間のちょうど半分と決まっていますので「648m」と「324mm」は同じ長さのギターを表しています。
また元々はインチサイズなものをミリに換算して表記していますので「648m」と「647.7mm」も同じ長さを指しています。
以下、ギターのスケールと代表的なギターを記載します。
◎ロングスケール(=フルスケール、レギュラースケール、FENDERスケール)
●25 1/2インチ、647.7mm
(648mm、324スケール、25.5インチ)
●代表機種;ストラトキャスター、テレキャスターなど
「FENDERスケール」はフェンダー社で採用されたスケールであるための俗称、通称で正式なスペック表では表記されませんが楽器店のサイトなどでお店の担当者がコメントを書いている場合に表記されることがあります。
◎ミディアムスケール(=ギブソンスケール)
●24 3/4インチ 628.65mm
(628mm、314スケール、24.75インチ)
●代表機種;レスポールシリーズ
「ギブソンスケール」は「フェンダースケール」に対して使われます。
一般的にはミディアムスケールで通ります。
これらの名称からフェンダーのレギュラースケールが標準でギブソン社のミディアムスケールがそれを基に短く作られたような印象がありますが実際のギター製作に関してはギブソン社の方が長い歴史があります。
ストラトタイプをベースにしたスーパーストラトなどでもミディアムスケールが採用されている機種もありまたフェンダー社からもミディアムスケールのギターも販売されておりその機種ごとに判断する必要があります。
◎ ショートスケール
●24インチ 609.6mm
(609mm、305スケール、24インチ)
●代表機種;ムスタング、ジャガー
ショートスケールのギターは弦長が短いが故にネックも短く、それに合わせてボディも小ぶりなものとなっています。
◎その他のスケール
ポールリードスミス社の様にロングとミディアムの中間の独自スケールを採用したり、昨今の音楽シーンの変化でより低音の出力がギターに要求された結果、テンションを稼ぐため(後述)より長いスケールのギターが開発されています。
またミニギターの中にはさらに短いスケールのものもありますが一見ミニギターの様なスタインバーガー製ギターはフルスケール、フェルナンデス社のZO‐3はショートスケールです。
◎スケールの違いによる特徴
●テンション感の違い
同じゲージ(太さ)の弦で比べた場合長いスケールの方がテンション感が強くなります。
対してショートスケールはテンションが弱く押さえるのに必要な力が少なくなりチョーキングやビブラートなどがかけやすくなります。
●音色
テンションの強いロングスケールの方がショートに比べて張りのある音になります。
対してショートスケールは張りが弱く柔らかい音になります。
●音程の安定
ロングスケールはショートスケールに比べて音程の面で有利になります。
テンションが高い方が音程がシャープしにくく、スケールが長いほどチューニングが狂う原因の一つのペグポストの弛みなど(過去記事34)の誤差の全体に与える影響が相対的に少なくなるからです。
●ネック・フレット間の長さ
スケール(弦長)が短くなればネックも短くなり、フレット同士の間隔も狭くなります。
ストレッチフレーズなど指の開きにくい人や手の小さな人でも押さえやすいメリットがありますが半面ハイフレットでは間隔が極端に狭くなり指の太い人は押さえにくくなります。
◎最後に
市場に出回っているコピーギターは大半が有名メーカーのコピーである以上スケールが大きく変更される事はすぐには無いと思います。
しかし最近は様々なスケールが登場していてコピー品もスケールを正確にトレースしている場合があります。
余程特殊なスケールでない限り弦も通常のものを使用可能ですので今後使用ギタリストが多くなればメーカーが製造をシフトしていくかもしれません。
完
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