52.エレキギター初級 ◎各部の名称(6)

ギターパーツや部位は独特の呼び方や略称、通称などがあり、メンテナンスの記事などを読む際に覚えて置くと理解がスムーズかと思います。

51(5)の続きです。

◎ネックのパーツ名称

●指板指板(しばん=フィンガーボード、フレットボード)

ネック自体はマホガニーやメイプルやプライウッド(貼り合わせ材)で出来ていますが弦を押さえる部分は別材で指板(しばん=フィンガーボード、フレットボード)が貼られています。

別材でこげ茶色で導管の多いローズウッドや黒くて導管が見えにくいエボニー、明るい茶色のメイプルが主な指板材です。

メイプルネックでメイプル指板の場合は別のメイプルを貼ってある「貼りメイプル」と呼ばれるものと、全て1本の木材から出来ている「ワンピースメイプルネック」があります。

ローズやエボニー材のネックは私の知る限り存在しませんので指板材まで含めて単一素材はあワンピースメイプルネックしかありません。

しかし今後は代替材のワンピースネックが出てくるかもしれません。

●フレット

指板の上に金属の細い棒が埋め込まれているのが「フレット」です。

バイオリンなどの様にフレットが無いと音程を正確に記憶して押弦する必要が有るため、フレットの存在は演奏出来るようになるまでの難易度を各段に下げています。

フレットの数は

21本(オールドタイプのストラトタイプ)、22本(レスポールシリー、モダンストラトなど)、24本(スーパーストラトなど)、27本(特殊な少数機種)

と様々です。

また材質はニッケルやステンレス製ですが、太さ・高さ・断面形に様々な商品がありリプレイスメントとして販売されています。

●ポジションマーク

指板表面にある絵柄のようなものは「ポジションマーク」と言いフレット数の目安の為に打って(打ち込んで)あることになっています。

実際は指板表面を見ずに演奏しますので装飾的な意味合いが大きい部分です。

演奏時は指板側面にもポジションマークが埋め込まれており「サイドポジションマーク」と呼ばれ主にそちらを見てポジションの位置を得ます。

サイドポジションマークはほとんどが「ドット(丸い点)」ですが指板表面のものはオーソドックスな「ドット」、台形の「ブロック」のほかに台形を逆さにした「ディッシュ(「皿」の意味)」がありレスポールスタンダードに採用されています。

他にも斜めな台形、複数の長方形を並べたもの、鳥や時計など、12フレットなど特定のポジションだけ花型やアーティストの名前やギターの機種名の入ったもの、指板全体がインレイで1つの大きな絵柄になっているものなど様々なものがあり、その機種やブランドを象徴するものと認識されているものまであります。

ポジションマークやヘッドのブランドロゴなど木材に埋め込まれたものを「インレイ」と呼びます。

ュ型のポジションマーク」という言い方のほかそのポジションマークを指して「ディッシュインレイ」と呼ぶ場合もあります。

ブロック型は「ブロックインレイ」鳥型は「バードインレイ」です。

●トラスロッド

外からは一部しか見えない又は全く見えないパーツですが「トラスロッド」と言うものがネックに埋め込まれています。

湾曲した棒をネックに埋め込み、回すための部品を装着されています。

ネックが弦の張力により指板正面側に反ることを想定してネックを背面側に曲げる方向にしか動かせず正面側に力を加えたい場合はトラスロッドを緩めてネック自身に曲がってもらうしかなくなります。

そこで通常とは逆の方向にも曲げ応力を働かせられる「双方向(=デュアルアクション)トラスロッド」を採用したギターもあります。

回すためのボルトはヘッド側に開口され普段は「トラスロッドカバー」で塞がれた部分から回して調整します。

調整用ボルトがヘックス(六角形)の凸型の場合は「パイプレンチ」という専用のレンチで、凹型の場合はヘックスレンチで調整しますが、ギターによってインチサイズとミリサイズがあります。

近いサイズだと合ってなくても回せてしまいますが、ネジ山をナメて(潰して)しまい2度と回せなくなりますので必ずメーカーに問い合わるなど確認して慎重に判断してください。

オールドのストラトキャスターやそのリイシュー(この場合は当時のスペックで現代で製造、販売すること)モデルはネックを外したネックエンド側に調整ネジがあるものもあります。

この場合はプラス頭のネジに見えますがロッド調整には大変な力がかかりますのでプラスネジで回すと確実にナメます。

幅の合致した大きいマイナスドライバーで回し、サイズが合ってない場合はドライバーを購入しましょう。

面倒がったりドライバー代金を渋るともっと大きな代償が待っています。

このタイプはロッド調整のたびに弦を弛めてネックを外す大変面倒な作業を強いられますがデメリットばかりではなく、ヘッドとネックの間という一番細い部分に開口部を設けていないためネックの強度面で大幅に有利になります。

またロッド調整を多く必要とする可能性のあるエントリークラスのギターでは、製造の簡易さからヘッド側に開口されているものがほとんどです。

そのためネックエンド側に調整ボルトがある機種でロッドを頻繁に調整する可能性は(絶対ではありませんが)低いと思います。

指板が別素材で貼ってある場合は指板で蓋をするようにトラスロッドが埋められていますが前述のワンピースメイプルネックだと指板下に埋めることが出来ません。

ネックの裏側にロッド分の幅のスロットを設けロッドを埋めた後に塞ぐという製造法を採ります。

その際にハワイアンコア、ウォルナットやローズウッドなど別な木材を穴の埋め木に使用して出来た色違いの筋(スロットを埋めた跡)を「スカンクストライプ」と言います。

次回に続きます。

コメント

タイトルとURLをコピーしました