弦の種類の後編です。
太さの種類や音の違い、ギターとのマッチングについてです。
◎太さ(ゲージ)
弦の太さのことを「ゲージ」と呼びます。
6本の弦を自分で1から選んで好きなゲージを張っても構わないのですが、一般的には一定の組み合わせ(セット)で販売されておりその組み合わせには名前が付けられています。
そしてその組み合わせが張られるギターの種類にもある程度のパターンがあります。
最も一般的なセット弦が以下の2種類です。
●「Regular Light(ライトゲージ) 」
(レスポールタイプなど)
1弦:0.010インチ
2弦:0.013インチ
3弦:0.017インチ
4弦:0.026インチ
5弦:0.036インチ
6弦:0.046インチ
こちらは「レギュラー(ゲージ)」「ライト(ゲージ)」と呼んだり、最初と最後を取って「イチゼロヨンロク」と呼んだりします。
●「Super Light(スーパーライトゲージ) 」
(ストラトタイプ、テレキャスタータイプなど)
1弦:0.009インチ
2弦:0.011インチ
3弦:0.016インチ
4弦:0.024インチ
5弦:0.032インチ
6弦:0.042インチ
ライトゲージより一段階細いゲージです。
こちらは「スーパーライト(ゲージ)」、「ゼロキューヨンニ」などと呼びます。
あまり一般的ではありませんがさらに細い08-38セットも存在します。
●さらにこの2種の中間として
Super Light(スーパーライトゲージ) の高音弦(1~3弦)
1弦:0.009インチ
2弦:0.011インチ
3弦:0.016インチ
Regular Light(ライトゲージ) の低音弦(4~6弦)
4弦:0.026インチ
5弦:0.036インチ
6弦:0.046インチ
と言う組み合わせも比較的一般的な部類のセットです。
商品名としてはメーカーによって異なりますが「Custom Gauge(カスタムゲージ)」・「Heavy Bottom(ヘビーボトム)」などがよく見られ「ゼロキューヨンロク」と呼ばれることもあります。
弦は太いほどパワーが大きくなりますので低音弦のパワフルさと、細いほどテンションが弱まりますので高音弦の演奏のしやすさの両立を狙ったゲージです。
またストップテールピースのギター(レスポールスペシャルの一部など)のオクターブ調整(過去記事20)が他のゲージより合わせやすいとされています。
アコースティックギターは弦の素材自体違いますし太さもより太いものを張ることが多くまたエレキギターでもジャズギタリストはもっと太い弦を張ります。
また全音(2フレット分)下げ、2音(4フレット分)下げなどの大幅なダウンチューニングをする場合はテンションの低下に備えさらに太い弦を張ることもあります。(11‐48、11-50など)
しかしどのギターでも全ての弦が張れるわけではなくナットの溝に弦が収まらないなどの問題が発生します。
またサウンド面での理由で太い弦を張ってダウンチューニングをしてない場合ネックが張力に耐えきれず反ってしまう事もあります。
ほぼ全ての弦を張って問題ないのはナットが従来の役割を担っていないフロイドローズ(FRT)搭載タイプのギターです。
FRT搭載ギターは5ピースなど、比較的ネックの強度を上げてあるギターも多いように思います。
1本ごとに弦をセレクトするこだわりを持つギタリストもいますが上記のセットから選んで購入するのが一般的です。
選ぶ部分と言えば材質などで、またメーカーやブランドごとに同じゲージや素材でもテンション感(実際の張力ではなく感覚上のもの)や弾き心地が微妙に違いその点にこだわる人もいます。
前回(55)の記事で書きました様に素材や値段もだいぶ違いがありますのでお財布と相談しながら毎回違うブランドの弦を張ってみるのも良いと思います。
◎使用弦とギターの関係
主なゲージのセットと主な使用ギターを記述しましたが絶対的な決まりではありません。
しかし多くの場合この組み合わせ(レスポールにレギュラー)ですがギターの機種でセレクトされているというよりはそのギターのスケールでセレクトされています。(スケールに関しては過去記事54.スケール)
●弦のゲージが同じ場合、ギターのスケールが長くなれば音に張りが出ますが張力(テンション)は強くなり、押弦やチョーキングに力が要ります。
スケールが短い場合はその逆でテンションが弱く音が柔らかくなり、押弦やチョーキングが楽になります。
●またギターのスケールが同じ場合は弦が太くなるとテンションが強くなり音に張りが出て、押弦・チョーキングなどに力が要りますが、弦が細くなれば音が柔らかくテンションは弱く、演奏は力が要らなくなります。
●そのほかチューニングを落とした(下げた調弦=ダウンチューニング)状態だと弦の張力・張りなどは弦が細くなった場合と同様に弱く柔らかくなります。
そのため全長が短めのミディアムスケール(レスポールなど)に比較的太めのレギュラーゲージ、全長が長めのレギュラースケール(ストラト、テリーなど)を張ることは両者のテンションを近づけるという理由もあります。
しかし敢えてそのギターの特徴を前面に押し出し特徴を明確にする様なセッティングも試してみると良いでしょう。
◎太い弦のパワー、細い弦の押さえやすさ
「太い弦はパワーがある」「細い弦は押さえやすい」と聞くとパワーがある方が良い弦だ、押さえやすい弦の方が良いなどと思いがちですが一概にそうではありません。
押さえやすい細い弦は音に張りが少なく好みでないかもしれませんし、パワーを求めて太い弦を張ってもフロントピックアップセレクト時の低音域がこもって聴こえたりと満足できる状態にならない場合があります。
また弦のメーカーによって演奏性やサウンドに差異があるように、同じスケールのギターでもテンション感が違うことも割りと普通に起こりえます。
◎最後に
買ってきたギターはおおむね一般的なチョイスで弦が張られている事が多いと思います。
最初のうちはゲージを変えても演奏性はともかくサウンドの違いを聞き分けるのは難しいと思います。
今の弦の新品時の音を記憶して脳内で現在の弦と比較する必要があるためです。
まずは張りやタッチのやわらかさなど演奏性を軸にセレクトして様々な弦を試してみると良いと思います。
現在の演奏性に不満がない場合はゲージはそのままにメーカーを色々試してみると良いと思います。
完
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