ギターの塗装の続きとしてオイルフィニッシュをご紹介します。
正確には塗装ではないのですがギターの外装の仕上げの一種です。
目次
◎オイルフィニッシュとは
◎オイルフィニッシュの特徴
◎オイルフィニッシュのメンテナンス方法
◎オイルフィニッシュとは
ギターの保護の観点から実施される仕上げではありますが塗膜を形成するものではありません。
木材に酸素と結合して硬化する性質のあるオイルを刷り込み水分から保護する仕上げ方法で家具や床などにも利用されています。
空気中の酸素と反応して固化する「乾性油」を使用し、サラサラした手触りです。
※乾性油;空気中で固まるオイルで荏の油(エゴマ油)、リンシードオイル(亜麻仁油)、胡桃油、紫蘇油、ポピーオイル(ケシ油)、桐油など
参考までに
半乾性油;流動性は低下するものの、完全には固まらないもの。
綿実油、胡麻油、コーン油、大豆油など。
不乾性油;空気中で固まらないもの
オリーブ油、扁桃(アーモンド)油、落花生油、椰子油、椿油、菜種油など。
◎オイルフィニッシュの特徴
●塗膜(油膜)が薄い
木材に油を染み込ませているので塗膜に当たるものが非常に薄く仕上がります。
そのため鳴りが良いとかギター本来の鳴りなどと言われています。
ただしタイトさは失われ木材やその他の条件によってはまとまりやコシの無い音、散らかった音と表現される場合もあります。
●仕上げが簡単で安い
下地仕上げなどに多少のコツは要るものの基本的にはオイルを染み込ませるというものですので作業が簡単です。
材料も簡単に入手できますのでDIYで行う人が多い仕上げ方法です。
縫って拭き取り乾燥させるという工程のため気泡が入るなどのミスが起きる余地がありません。
多少の色ムラは気になりませんが下地をきれいに仕上げないと目立つ色ムラになったりします。
●自然な手触りと風合い
また乾燥にはラッカー以上に時間がかかります。
塗装のナチュラル仕上げとはまた違う木の手触りが感じられる独特差が魅力で無塗装の木のような肌ざわりです。
半面、色のバリエーションが少ない事と摩擦や衝撃、打撃には弱く、気温や湿度からの保護の面でも他の仕上げに劣ります。
傷や凹みが付きやすく塗装はげも起きやすい傾向があり保湿にも常に気を使う必要があるためメンテナンスには手間がかかります。
木目がそのまま出た様な仕上がりな為汚れが付くと落としにくく淡いカラーだと目立ってしまいます。
耐水性にも乏しい為汗等を放置するとシミになったり黒っぽく汚れたりします。
◎オイルフィニッシュのメンテナンス方法
摩擦に弱いという特性があり表面のオイルの層が剝がれてしまうと徐々に色落ちしてしまいます。
特性上ある程度は仕方ない面はありますが基本的なケアは専用のワックスによる表面の保護です。
表面には木材の凹凸があるため全体の汚れはクロスでの乾拭きにとどめ、汚れ落としのクリーナーやポリッシュなどは使用しないようにします。
酷い汚れは消しゴムでこすって落とせる範囲で落とします。
ほこりや消しゴムカスはしっかり取り除きます。
ワックスを良く伸ばして塗り広げ乾拭きしてしっかり乾燥させます。
オイルの染み込んだクロスは自然発火の恐れがありますので水をたっぷり染み込ませてビニール袋に入れ口をしっかり閉じて捨てて下さい。
レモンオイルやオレンジオイルは不安な為使用したことがありませんが不安要素がある様です。
◎最後に
やや手間はかかるものの独特の風合いやルックスは唯一無二のものです。
経年変化も楽しむ気持ちで接すると良いのではないかと思います。
完
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