ギターパーツや部位は独特の呼び方や略称、通称などがあり、メンテナンスの記事などを読む際に覚えて置くと理解がスムーズかと思います。
50(4)の続きです。
◎ネックの接続方法の名称
ボディとネックの接続方式自体を「ネックジョイント」と言います。
「このギターのネックジョイントはセットネックだ(デタッチャブルだ)」という風に使います。
前回少し触れましたがネックとボディがネジとプレートで留められている方式を「ボルトオン(式、タイプ)」または「デタッチャブル(式、タイプ)」と言い、その方法で接続されたネック又はその方式自体を「ボルトオンネック」「デタッチャブルネック」と言います。
構造や組み立てに精度を求めなければ簡単な為安価なギターに用いられます。
そのせいでボルトオン自体が低く見られることもありますが実際は他の接続方法に対してアタックが強くなる傾向がありまた高い工作精度と調整をなされたギターはサステインも十分であり、高額なギターにも用いられている接続法です。
ボルトオンに対して接着による接続は「セットネック」と呼ばれアタックはボルトオンに劣る傾向があるものの抜群のサステインを誇ります。
しかしこれも高度に管理された工法により精度の高い工作と調整をなされなければボルトオンにも劣る結果となるでしょう。
ボルトオン・セットネックともにボディとネックの接続部は強度上厚くなる傾向がありますが強度を確保したうえでスラントカットするなど演奏性を高める加工を「ヒールレス加工」と呼びます。
これらのどちらとも異なるネックの接続法に「スルーネック」があります。
これはネックのヘッド先端からボディエンドまでを一本の木材で製作し、その両サイドにボディ材を接着して完成します。
非常に贅沢な材料の使い方であり必然的に高額になる傾向があります。
サステインの良さなどサウンド面の特徴のほかボディとの接続部分自体が存在しないためハイポジションの演奏性(ハイポジションへのアクセスなどと呼びます)が非常に優れている事も特徴です。
ネックもボディ同様強度を高める目的や異なる木材の音響上のプラスを狙い複数の材をラミネートしたものがあり「〇ピースネック」と呼びます。
〇には数字が入りスリーピースネック、ファイブピースネックなどと言います)
◎ネック ネックシェイプ ( ネックプロファイル・バックシェイプ )
ボディから伸びた棹上の部分を「ネック」と言います。
ネックは演奏性とサウンドの両方に影響が大きなパーツです。
指板材にも影響を受けますがネックの太さや硬度によりサウンドは異なりネックが太いほどどっしりとした厚めのサウンド、細く薄くなれば軽めのサウンドになります。
また薄ければ握りやすく思えますが薄すぎると弾きにくく感じる人もいて好みによってどのくらいの太さが良いかは異なります。
演奏性への影響という点では太さだけでなく断面の形も重要です。
エッジが緩やかな「Ⅾシェイプ(=型)」・「かまぼこ型」、「Vシェイプ(=型)」・「三角型」、「Uシェイプ(=型)」、「Cシェイプ(=型)」などオーソドックスな形状のほかそれぞれの変形型が存在します。
また根本と先端でシェイプが変化する「VUシェイプ」、高音弦側と低音弦側で形状が異なる「非対称グリップ」などが有ります。
これらの断面形のことを正確には「ネックプロファイル」「バックシェイプ」と呼びますが一般的には「ネックシェイプ」と呼ばれています。
次回に続きます。
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