ギターパーツや部位は独特の呼び方や略称、通称などがあり、メンテナンスの記事などを読む際に覚えて置くと理解がスムーズかと思います。
49(3)の続きです。
◎ボディに取り付けられたパーツ(続き)
◎ストラップピン
ギター用のストラップをギターに装着するためのパーツです。
デフォルトで付いているものは単に引っかけるだけの構造な為この機能でのリプレイスメントパーツは交換用のものしか有りません。
しかしストラップ側の取り付け穴(ストラップホール)の拡張などによりストラップが外れることがあります。
最も安価な方法は、ストラップピンを外してストラップのホールに5円硬貨をあてた上からストラップピンを挿してそのまま本体にねじ込む方法です。
ストラップを外したり交換する際にはピンごと外さねばならずねじ込み方が悪いとボディの木材のネジ山を潰すことになりますので注意が必要です。
またケースに入れての移動時もストラップを装着したままにせざるを得ずあまりお勧めしません。
この「ピンとストラップの間に5円玉」という方法をそのまま商品化したものがありますのでそちらが安価でお勧めです。
さすがに定価は円ではありませんが500円ほどですし全く着脱ができない5円玉方式と違い、やや手間がかかりますがストラップの着脱が出来ます。
また値段が2000円台だか4000円ほどしますが確実なストラップの固定と簡単な着脱を可能としたのが「ロックピン」です。
シャーラ―社のものが有名ですが方式違いでジムダンロップ社のものも販売されています。
個人的にはシャーラ―タイプはロック機構でギターを支える構造になっていないため万一の故障や損壊があってもギターを落とさないので所有ギターは全てこのタイプに交換しています。
◎ボディ形状の名称
●ホーン
ボディのネック脇の両方又は片方に突き出した部分を「ホーン」と呼びます。
「つの」という意味でフロントのストラップピンが松着されます。
ここでのストラップピンの位置が構えた時のボディバランスに大きく影響し優れたボディデザインのギターは実際の重量よりも構えた時に軽く感じます。
●コンター
ストラトキャスタータイプなどでボディが平らではなくスラントされてカットされていることが有ります。
この部分を「コンター」といい「コンター加工されている」などと使いますがオーソドックスな加工なので「コンターがある(=加工がなされている)」で通じます。
ボディトップ面では肘があたる部分、ヘッドを上にして見ると左下端部分です。
この部分は肘用であるため特に「エルボーカット」と呼ばれることもあります。
レスポールタイプではトップ面のコンターはありませんがトップ面が「アーチドトップ」(後述)されている為あまり気になりません。
ただしレスポールスペシャルやジュニアなどの元がステューデントモデルだったものはこの加工がされていません。
ボディバック面では右わき腹の肋骨が当たる部分にえぐり加工がされています。
加工されたギターとされてないギターを弾き比べるとその効果は歴然です。
ストラトタイプを元にしたモダンストラトなどはほとんどこの加工がなされていることからその効果のほどが窺えます。
ながらくボディバックにコンター加工がされていなかったレスポールにもバックコンターが施されたモデルも発売されています。
◎サウンドホール
フルアコ―スティックギター(フルアコ)やセミアコースティックギター(セミアコ)は総称の通称として「箱(ハコ)モノ」と呼ばれます。
その名の通りボディが箱状に板状パーツで作られており内部の一部又は全部が空洞となっています。
その内部の反響音を外部に出す為に設けられているのが「サウンドホール」です。
サウンドホールは筆記体の「f」の様な形をしている為「f(=エフ)ホール」とも呼ばれます。
エレキギターはピックアップで音を拾いアンプに出力するため箱モノであってもホールを開口してない機種もあります。
開口していない場合は箱モノの標としてサウンドホール状のペイントが施されている場合があります。
●アーチ(ド)トップ・カーブ(ド)トップ
ボディのトップ面が外周から中央に向けてなだらかに盛り上がった形状を「カーブ(ド)トップ」「アーチ(ド)トップ」と呼びます。
「カーブ」は「曲がる」という意味ではなく「削る」という意味で「カーブド」で「削られた」と言う意味になるのですが(アーチドトップも同様)「カーブトップ」「アーチトップ」で一単語として成立していますのでどちらでも間違いではない様です。
バブル期に日本で製造された安価なギターにはアーチ形状を安価な柔らかい木材を用い圧縮(プレス)で作成されたものもありますが本来は一枚板(又はブックマッチ(2ピース))からの削り出しであり高度な工作精度の証です。
見た目の高級感以外にネックの角度を付けてテンションを稼ぐのに適した構造と言えます。
ネックの角度を「ネック角(=かく)」と言いビンテージとされるギターの製造年代によって数種の角度がありテンションを稼ぐ目的で設けられています。
ネジ止めのボルトオンや貫通したスルーネックではネック角は付けずヘッド角やテンションバーなどでテンションを稼いでいます(ボルトオンなどは後述)。
●ネックポケット
ボディとネックがネジ止めの「ボルトオン(タイプ)」或いは「デタッチャブル(タイプ)」の場合、ネックが接合されている窪みを「ネックポケット」と言い加工精度が問われる部分です。
次回はネック編です。
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