フレットはステンレス製のものもありますがほとんどはニッケルで出来ているため酸化して曇っていきます。
あまりにも放置すると錆びて緑青が浮いたりします。
くすみが進んだフレットは表面がざらざらする様になり演奏にも影響が出てきます。
スライドやグリスがやりにくかったり1番わかるのがチョーキングです。
普段は弦交換のタイミングでクロスで磨くことで十分ですが曇りがひどくなって来たらフレットを磨くことをお勧めします。
若干手間はかかりますが磨いた後のピカピカに光るフレットを見るのは結構快感です。
最終的には磨けていれば良いのですが気を付けるべき点や楽にできる点をお話しします。
以下手順です。
◎準備編~道具の準備
以下の二つはどちらか1つは必須です。私は2つ併用しています。
●マスキングテープ
マスキングテープとは粘着力の弱い、養生用のテープです。
セロテープやガムテープ、ビニールテープなどを使用しますと塗装を痛める場合がありますのでマスキングテープを使用してください。
プラモデル用でも良いのですが大量に使いますのでコスパが悪いです。ホームセンターなどで買えばより安くより大量に買えます。
実践編を見て頂くとわかりますが指板に貼っていくのに複数の幅が必要になります。
節約したい、カッターで切る手間を惜しまない人は幅広のものを一本買えば良いです。
ローフレット(低音域側)用の幅2~3センチのものの他にハイフレット(高音域)用の5ミリほどのものの2本あると便利です。
●フレット磨きプレート
その名の通りフレットを磨くための、フレットのみを露出させるためのスリットがある金属板です。
指板の保護はこちら一つで済ませるのが安上がりで手間も最も少ないと思います。
実際に磨くもの
●金属磨き
金属を磨けるものであれば何でもよいのですが、私はアサヒペン社の「金属磨きピカピ缶」が気に入って使用しています。
これは缶に入った綿に研磨剤が含まれており、好きな量にちぎって金属を磨くものでフレット用という訳ではありません。
平面の研磨には向きませんが曲面を磨くのにギター以外でも重宝します。
ヤスリやピカール(が乾いた時)の様に粉が出ない点も気に入っています。
ただし磨いていると綿が黒くなっていきますので適度に替えることとギターに汚れを付けないように注意してください。
スポンジヤスリは削りすぎてしまいそうですし、よく勧められているピカールはペースト状の白い液体ですのでローズウッドに指板の導管(木の細かい溝の様なもの)に入り込んでしまうと見栄えが悪いのでこの商品を使う様になり以来ずっと愛用しています。
ピカールを使う場合はマスキングテープで指板をしっかり覆った方が良いですがこのピカピ缶であればフレット磨きプレートのみでも大丈夫です。
その他
●カッターナイフ
デザインナイフが理想ですがここでしか使わないのに買うのは気が引けるでしょうし切れ味が鋭い分刃の寿命が短いのでコスパは悪いです。
マスキングテープを切るのに使えれば普通のカッターで良いですが替え刃はまめに折りましょう。
●クロス
クロスは他の作業でも必需品ですので2枚用意してください。
マイクロファイバーで毛足の無いものがお勧めです。
なぜかリサイクルショップに行くとアニメ柄のマイクロファイバータオルが激安で売られているので大量購入して使用しています。
1枚買って半分に切っても良いです。
汚れたものときれいなものを拭くのに分けて使います。
●クリーナー
最終的な汚れ落としにあると便利です。
私はケンスミスのギターポリッシュが万能でラッカーにも使えるので多用しています。
ポリッシュという品名ですがクリーナーとしても使用しています。
◎実践編
●マスキングテープを指板の側面に貼ります。
指板を覆う前に、ネックの側面にナットから最終フレットまで左右共に長く一本マスキングテープを貼ります。
● 指板を保護します。
指板に横にテープを渡すようにフレットを避けて貼ります。側面に貼ってあるテープにもかかる様に貼ります。
- このまま磨いても良いのですが私は万が一を考えフレット磨きプレートを併用します。
磨き用綿であればプレートのみでも良いかと思います。
● フレットと指板のきわに気を付けて磨きます。
テープで養生していない場合は特に、養生していても指板に極力磨き粉や成分が付かないように注意します。クロスで余分な磨き粉を拭き取ります。
● 横に貼ったテープを剥がしていきます。
順番的に先に貼っているので、指板に渡すように張ったテープが一気に剥がれていくと思います。
● 最終拭き
ポリッシュもしくは乾拭きで仕上げます。
これ以外の手順もありますがいずれにしても注意する点は指板に汚れを付けない点です。
ラッカー塗装であればネック背面の塗装面にも注意が必要ですが、ポリ塗装であっても指板は基本むき出しですので指板自体に付着する汚れに気を付けてください。
◎最後に
磨き終わったフレットは新品時のようにきらきら光ってテンションが上がりますし演奏性も格段に良くなっていると思います。
自分でメンテナンスをしたギターはより大切に思え練習も一層楽しくなる事でしょう。
完
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