ギターを買うにあたって、最初は比較的安価なものから購入する方が多いと思います。
私も雑誌の裏に広告があった通販でセットのギターを買いました。
でも思い切って高級ギターを買った時に、知らないと後悔する事柄として保管方法があります。
ギターの塗装で良く目にするものと保管難易度
①ポリ塗装(比較的楽)
② オイルフィニッシュ(やや注意)
③ ラッカー塗装(要注意)
①のポリ塗装 ~あまり気にしなくて良い、ただし塗膜が薄いものも
あまり手入れに気を付けなくても良いですが、高額なギターに用いられているポリ塗装は塗膜が薄いものもありますので、こすったりしないように注意が必要です。
ポリエステル塗装
ポリウレタン塗装
がありますが保管方法の難易度でいえば違いはとりあえずは無視して良いかと思います。
高額ギターにも使われる塗装法で安価なギター専用塗装というわけではありません。
安価なギターの場合は塗膜が厚く木材の上に塗料で出来た板が乗った様な状態のものがあります。
こういったものは強くぶつけたりすると塗装がバリバリと割れたり塗膜自体がポロリと剥がれたりします。
またこの塗装法は木目のプリントがしてある事があり、美しい木目だと思っていたギターの塗装が割れると中から全く違う木目が出てきたりします。
その場合ほとんどのボディが合板です。
ボディ上面に並行のプライ
ボディ上面に垂直のピースがあります。
②オイルフィニッシュ ~塗膜が薄いので傷に注意
塗膜は薄く、木目が見えていたり、手触りも木の導管が分かる程です。
その分傷もつきやすく、また傷をつけた場合のリカバリーが他の塗装に比べて得に困難です。
保護力が極端に弱いので角をぶつけたりするとすぐへこむので注意が必要です。
③ラッカー塗装 ~要注意の最高峰、プラスに捉えられる劣化も
特に注意が必要な塗装法です。
a磨かないと曇る
b汗に弱くツヤが無くなる
c経年変化でクラックが入る
特に3つめのクラックは「ウェザーチェック」と呼ばれラッカー塗装が徐々に硬くなることと木材の収縮が原因です。
ヴィンテージギターの画像に見られる、塗装表面の細かいひび割れです。
必ず現れるわけではありませんが避けられないのと、ヴィンテージギターによく見られるためむしろ良い兆候と取られることも多いです。
DIYで敢えてウェザーチェックもどきの加工を新品のギターに施す人がいたり、その様な状態を再現して高額で販売されている新品のギターも存在します。
ウェザーチェックだけでなく、a、bもその古めかしいヴィンテージライクな風合いを好む人もいますし、その様に加工された疑似ヴィンテージギターが存在します。
ラッカー塗装で最も注意すべきは「石油製品との化学反応による塗装の溶け」です。
●一部のギタースタンドに用いられている合成ゴムにより、ネック裏面の中間部分の塗装が溶けている中古ギターをよく目にします。
●長年ハードケースに入れられていた場合、ケース内の内貼りの跡が残る場合もあります。
●化学繊維のクロスをボディに置いたまま放置して跡が付く事があります。
先述のabcの劣化と違い好意的に取られる事はまずありません。
ギターの買い替えや挫折で、下取りや売却しようとしたときに間違いなく査定は下がります。
その様な劣化のあるギターがそのせいで安く売られていた時、劣化した部分を磨くなどすれば演奏上は問題ないことも多いです。
ネックの裏面のスタンドによる劣化の場合は、正面から見て見える部分ではないので、見た目や気持ち的に許せれば「高額な品質の良いギターが安く買える」と考えることもできると思いますが、自分の愛機に塗装が溶けているものを敢えてチョイスす方も少ないでしょう。
予防・対策としては
①ギターの塗装法を認識する
買ったお店の店員さんに聞く
型番がわかればググる
②ポリッシュなど手入れのケミカルやギタースタンドも注意
確実に「ラッカー対応」との記載がるものを用いた上で
いきなりボディ表面などでは試さない
裏面や、パネルを外したボディ内面などで試す
ギターに触れるもの、ギターに着けるものは慎重に判断
③クロスやシールドなどは素材を把握
それらの素材が石油製品かを把握し、長時間触れさせたまま放置しない
ラッカー塗装の事を知っている人はギタースタンドの事は知っていてもクロスなどを天然繊維のものと思い違いをしていると痛恨の結果が待っています。
短時間で劣化するものではありませんが塗装が若く、気温が高く湿度が高い夏の時は塗装が早く傷む事もあります。
自分の不注意で大切な愛機を傷つけた時、いとおしさが増す場合もありますがその傷を見るたびに悲しくなり、音を聴き比べて選び抜いたギターでも見るに忍びなく手放す場合もあります。
一日何度も眺めていたい美しいギターは、適切なメンテナンスで長く美しくいてもらいたいものです。
完
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