25.エレキギター 〜ネックが反る原因

ネックの調整法について、以前記事で書かせて頂きました。(15.~ネック調整)

今回はネックが反る原因に絞ってお話しさせて頂きます。

目次

◎ネックの状態

◎反りの状態の確認

◎反りの原因

エレキギター

◎ネックの状態

ネックの反りの状態としては以下のものがあります。

●順反り

ギターを構えた方向から見た時にネックが前方向に向かって曲がっている状態です。

弦とネックで弓の様な格好になります。

●逆反り

順反りと逆で、構えた時にネックが後ろ側に反り返っている状態です。

ひどく症状が進んでいると弦の中央付近が押弦してなくてもフレットに触れている事もあります。

●ねじれ、波打ち

反りが部分的にあるいは部位によつまてまちまちに反った複雑状態です。

状態としてはやっかいで見分け方も困難です。

●ハイ起き

セットネックの接着部またはボルトオンネックのネジ留め部の先から急に起き上がった状態です。

順反りと方向は同じですがハイフレットのボディ接合部を堺に反りの具合が急激に変わっています。

こちらも、修整作業は大変困難です。

◎反りの状態の確認

●チューニングを済ませておきます。

●注意点はギターを平らな所に置いて確認すると重力で逆反り方向に動く場合がある為、現在の状態の把握が正確でなくなる場合があります。

ギターを弾くときと同じく構えた状態で確認するようにします。

●まず目視をします。

弦はどこかにぶつかっていなければ(逆反りの項参照)ナットからブリッジサドルまでは真っ直ぐな状態ですのでそれをガイドにしてネックを横から見ます。

反りが極端であればこの状態ではっきり順反りか逆反りが判ります。

●次に構えた状態のままで、任意の弦の

1フレットを左手

最終フレット(ギターの機種により21〜24フレット、ごく稀に27フレットなど)を右手の「親指」で押さえます。

その状態で「右手人差し指」で12フレットを軽く押さえたり離したりします。

押さえた時に隙間が適切であればフレットと弦がぶつかり「カチカチ」という音がします。

カチカチ言わずにぴったりくっついてしまっていれば逆反り、

カチカチ言うがハガキや名刺1枚分以上隙間があれば順反りです。

ハガキ1枚分とは厳密なものではなく、また数値よりも大切なのは弾きやすさや音詰まりがないかです。

調整方法については過去記事15.◎エレキギター初級~ネック調整にて解説しておりますので、原因を細かくみていきます。

◎反りの原因

主な原因は材料に使われている木材の収縮です。

●温度と湿度、木材の種類ごとの収縮率

ギターは合成素材のネックや金属のボディなどを用いた特殊な機種もありますが大半は木材で出来ています。

そして単一の木材で出来ているものはまず無く、少なくともボディとネックは別な品種の木材でできています。

ネックに関しても一本の木から出来たものもあれば指板材は別品種の木材であったり、ネック自体も複数の木材を貼り合わせた構造のものもあります。

複数の木材を用いたギターは反りに非常に強いと言われ実際私も反った個体を見た事がありません。

木材は生きた木を切り倒し、シーズニングと呼ばれる木材内の含水率を適正な数値にした後ギターとして加工されます。

その木材は切って加工された後も空気中の水分を吸収したり放出したりして「木(木材)は呼吸する」と言われています。

ギターにおけるボディなどの塗装の意義は装飾や傷からの保護も目的ですが、湿気からの保護も大きな役割を果たします。

そして木材は膨張率・収縮率だけでなく導管に対してどの方向に体積変化が起きるかも木の種類によって違います。

また木材が単一であっても木の個体差や、原木のどの部分を加工した部材かによっても膨張率・収縮率が違います。

木材の種類毎による体積変化の違いがある上にその品種の木材内部でも違うので、ネックの反りという現象が起こる一因となります。

●外部要因

運搬時などに急な衝撃が加わったり、保管時に無理な力がかかり続けたりといった外部からの力が原因の場合もあります。

運搬時は丁寧に扱う、保管時は特にネックにはものが乗ったり何かが寄りかかったりしない様にしてください。

●弦のゲージを変えた

外部要因の一種ですが弦のゲージを変えた時もネックの状態が動く場合があります。

太い弦に変えて張力が増し順反りになる

細い弦に変えて張力が減ぜられ逆反りになる

ヘビーボトム(09-46)など弦間の張力バランスが変わり低音弦側が順反りになる

これらは予想もしやすいですが、保管時に弦を緩める派の場合(詳しくは過去記事24.弦は緩めて保管する?)は均等ではなくまちまちに弦を緩めた結果、弦間バランスが崩れネック一部に反りが出る事があります。

私は弦は緩めないで保管する考えですが、緩める場合は均等に緩めて半音下げや1音(全音)下げにチューニングをきっちり済ませて保管する方がこのリスクを軽減する事になると思います。

◎最後に

ネック変化は弦のゲージ変更の場合や外部衝撃の場合はすぐ現れる事もありますが大抵は徐々に変化が起きます。

他の不具合でもそうですが毎日練習する事、そしてその結果毎日触り毎日見る事が、不具合の予兆を見逃さず重篤な状態になる前に発見しケア出来る「最大の予防」になると思います。

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