エレキギターを見ていると実に様々なボディの色や形状があることに気づきます。
また良く見るとボディに穴が開いていたり空洞があったりパーツが付いている位置や数、種類もまちまちです。
今回はボディの構造に関係する基礎知識についてお話しします。
◎ボディの素材
基本的には木材が一番多く使われている素材です。
木材にも硬さや重さなどによって音響上の特性が違いまた演奏性も変わってきます。
木材の中でも記事43.サーモウッドでお話ししましたが人工的に木材の質を変えてボディに用いたり、材の枯渇から意図せず代替材と呼ばれるものに変更されたりしています。
また材の確保の問題以外にも音響上の利点という積極的な理由で木材以外が用いられる例があります。
古くはカーボン・グラファイトの合成材やアルミ製、特殊軽合金素材のものまであります。
こういった素材はかなり特殊な素材であり生産数も少なく普及価格帯のギターに採用されることはまずありません。
カーボンとグラファイトの合成樹脂は理論上反らないネック材としてデビューしましたが結局弦の張力には勝てず木製と同じように反る事がわかりました。
高コストで生産する理由が無くなったため現在は強化されたメイプル材が使用されています。
ボディからネックに話が逸れてしましましたがアルミ鋳造のボディも国産メーカーが製造し重すぎるため空洞のボディとなりました。
完全にノイズをシャットアウトしたできるボディ材として、また人気ミュージシャンの使用により一部で根強い人気があり改造やアップデートで1ジャンルを築いています。
特殊軽合金のギターはオランダのメーカーが新素材としていくつものスタイルのギターを販売しています。
木材よりも利点の多い素材としてボディ、ネック、ヘッドと同素材での一体成型となっていて価格帯は30万以上となっています。
他にも金属パーツとネック以外は全てアクリル樹脂でできた透明なボディのギターもあり電飾を施すなどしてコアなファンの間で使用されています。
このように木製以外も存在しますが主流とはなりえておらず敢えて探すことをしなければ入手できるギターは木製と考えて良いと思います。
◎ボディ構造
構造の主流は空洞の無いいわゆる「ソリッドボディ」です。
無垢のものは木材確保の点から少なくなり張り合わせ構造が多くなっています。
●ピース
貼り合わせの構造や考え方は数種あり、ヘッドを上にして縦方向に分割されたような貼り合わせを「ピース」と呼び3つの部材を貼り合わせたものを「3(=スリー)ピース(の)ボディ」、無垢は「1(=ワン)ピース(の)ボディ」という言い方をします。
レスポールの一部のモデルはトップ面のセンターで、杢目の出たメイプル材を半分に分割し左右対称に貼り合わせた構造を特別に「ブックマッチ」といいます。
単にセンターから2分割されているだけで1つの木材を割った左右対称の杢目のもの以外はブックマッチとは呼びません。
レスポールをもう少し詳しく話すとボディトップ(弦が張ってある側)がメイプルの2(=ツー)ピース(でありブックマッチ)、ボディバック(体に触る側)はマホガニーの無垢材(ワンピースボディ)となっています。
これはコスト面ではなく音響面での材と構造のセレクトとされていて、廉価版の「スタジオ」でも10万円台後半、レギュラーラインで20万以上、カスタムショップ製は40万~数百万となっています。
●プライ
トップ材のメイプルとバック材のマホガニーの様にギター正面から見て前後に貼り合わせたものを「プライ」と呼びますがほとんど2プライ以下なので「このギターは○プライだ」と言う話題はあまりしません。
ただしある時期のレスポールは意図的にではありますがバック材に3プライ構造を採用していたり(トップのメイプルは別扱い)、80年代以前はエントリークラスのギターに敢えて言えば「数十プライ」、ありていに言えば積層の合板ボディが平気で存在しました。
木材調達の面だけでなくキャビティ内をザグる(=削る。ザグりを入れる、とも)必要がなくボディ内部にあたる部分がない状態のべニアを積層すれば良いので製造面でのコスト削減も担っていました。
私も過去1本持っていましたがピックアップを外してキャビティ内を除いた時の開いた口が塞がらない気持ちは今でも忘れません。
現代ではそこまで低品質なギターは見たことがないので売らずに記念に取っておけば良かったと思っています。
次回に続きます。
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