37.エレキギター初級 ◎中古楽器の選び方(3)

36.の続きです。

楽器としてのレベルの高さや価値の見極め方ではなく最低限機能する楽器の選び方という観点です。

また参考程度ではありますがリペアショップへの依頼やパーツ購入代などを記載しましたので本体代と追加料金として参考にしていただければと思います。

◎ジャック

シールドケーブルを差すところです。

アンプにつないで音が出ない場合はここの配線が外れている事も多いです。

ジャックを留めているボルトが弛みジャック自体が空回りする度に線がねじられて切れたり外れたりしていたりします。

ジャックのトラブルはほぼこれに尽きるのではないかと思います。

ボディに留める為の板(ジャックプレート)がプラ製の場合は割れていたりすることもありますが実用上はさほど困ることは無いと思います。

ジャックは単純な部品構成なうえ外部からダメージが得にくい位置や構造ですのでジャック自体が破損している事はあまりないでしょう。

ジャック自体の部品代は使用に十分耐えるクラスでも300円~1000円くらいでスイッチクラフト社製が有名ですが国産でも問題ないと思います。

●もっとも金額がかかるパターンだとジャック購入1,000円、工賃4,000円くらいです。自分でハンダ付けができればジャック代のみです。

ただしお店が音が鳴らない理由を把握していない場合はジャックの配線外れか断定できません。

買って帰ってバラしてみて原因を特定させる必要があります。

個人的にはジャック不良または音が鳴らなくて安い場合は部品代の安さ、自分でハンダ付けできる点で買いです。

難易度は低いので楽器専門店だとそのくらいは直して販売するのでこの理由で安く売っている事は無いでしょう。

楽器の知識のない楽器専門店以外のお店でまれに音が鳴らないミドルクラスなどが相場よりやや安いくらいで売られていることがあります。

◎ピックアップ

外装のチェックポイントはまだ続くのですが、音が鳴らない不具合の重要なパーツであるピックアップのお話しに移ります。

音がならないギターを直すのにはハンダ付け作業ができるのであれば費用をあまりかけずに直すことができるとずっと話してきましたが、一番費用がかかるのがこのピックアップです。

新品だと12,000円~25,000円くらい(10万円のものもありますが)で中古だと7・8,000円くらいが多い印象です。

ピックアップの中古を買う場合は、楽器専門店か、楽器専門店の通販、専門店意外の場合は実店舗で購入した方が良いと思いますし、私はそうしています。

ピックアップは、髪の毛より細いコイルが数千回巻いてある構造でここが切れいると「巻き直し」と言って直せなくは無いのですが、よほどの価値のあるピックアップでないと新しく買った方が良い様な金額になります。

個人売買のオークションサイトなどだと断線しているものが送られてくる事もあるかと思います。

普通に使用している範囲では断線はまず起こりませんがどんな使い方をされたか不明な場合は不安が残ります。

私は安く売られているものを買い置きしたり、リサイクルショップのジャンクコーナーで安く買ったりしたものをストックしてあります。

ジャンクコーナーは格安な代わりに断線などのトラブルがあっても基本的には返品不可ですが今まで断線していたことはありません。ただし絶対ないとは言い切れませんので自己責任で購入してください。

また最近はアメリカの超大手通販サイトで中国製が大変安く(最安値で1,000円台)売られていますので音が鳴りさえすれば良いのであればこちらを購入しても良いでしょう。

●ピックアップに原因があると把握して販売されている場合はピックアップの値段を考えて割引率が高く(販売価格が安く)設定されている場合が多いです。

常識の範囲内で値引き交渉しても良いかと多います。

●ハンダ付け作業ができて、ピックアップをなんらかの形ですでに持っている、ピックアップは買うつもりでいたので代金は気にならない、安い中国製ピックアップでも良い、という場合はお買い得だと思います。

ピックアップが壊れていて自分で交換できない場合は1つあたりピックアップ本体代+工賃5,000円~がかかります。

◎各部ネジ

各パーツのついているネジのチェックです。

交換自体は安くて簡単ですが注意点が1つだけあります。

ネジが異様に錆びついているいる場合、交換のためにネジを外そうとするとネジが折れて内部に残ったりすることがあります。

太いネジでは起こりにくいので重要なパーツのネジで無い場合がほとんどではありますが残ったネジはほぼ取り出せないのでパーツによっては困ります。

あまりない事ですが可能性として知っておかれると良いと思います。

●ネジの錆びや欠品で割り引きになることはほぼ無く交換も簡単です。

ホームセンターでもネジは買えますがギターのネジは細くて長いものも多く楽器専用パーツ以外だとあまり見つからないかもしれません。

ネジの在庫が豊富なホームセンターであっても長いネジは太く、細いネジは短いものしか置いてない場合が多いです。

ネジは粗く斜めにネジが切られている木ネジとネジピッチの細かい金属用がありますので外したネジをよく見て、不安がある場合はネジの販売店によく確認して買ってください。

アメリカ製のギターだとサイズがインチサイズな場合がありますので機種名で調べて使用ネジのサイズを確認してください。

楽器専用パーツとして販売されているネジはかなり割高なのですがネジそのものは安いので、なかなかぴったりのサイズがないので探す手間を考えれば専用パーツが良いと思います。

◎ストラップピン

単なる欠損の場合と、基部の陥没、ネジ穴の潰れ、があります。

欠品の場合は購入して付けるだけですので300円~くらいで済みます。

特にエンドピン(ボディ後端のストラップピン)に多いのですが、ストラップピンを下にして落下させた場合、基部が陥没していることがあります。

見た目だけでなくネジやネジ山にダメージがある場合は購入は要検討です。

そして圧倒的に安価なギターで多いのがボディの木材が柔らかいため弛んだネジを何度も締めているうちにネジ山がバカになっているパターンです。

木材の強度ばかりが原因ではなく木材へのネジ打ちの知識がなく既存のネジ山に沿った締めこみを行わなかった可能性もあります。

ネジ穴がバカになっているとストラップピンがくるくる空回りして最悪の場合ストラップがピンごと外れてギターを落下させることになります。

ネジ穴の補修は過去記事8.ストラップピンの修正・補強で紹介しましたがいったん木材で埋め木ををして開け直すのが正統な直し方ですが補修方法は他にもあります。

基部の陥没も内部ネジ山のダメージを確認して必要であればネジ山補修を行った方が良いですがリペア料金はショップにもよりますが2~3,000円くらいです。

埋め木をして開け直す場合ドリルが必要ですが 8.ストラップピンの修正・補強 でご紹介した方法であればドライバー、瞬間接着剤、グリスだけで補修・補強できます。

ただし自己責任でお願いいたします。

◎ブリッジ各部

ブリッジの不具合は明らかな破損以外は見極めが難しいですがメッキはげは見た目気にしなければひとまずOKですが錆が出やすくいずれ交換が必要になる場合があります。

また明らかに錆びが多い場合もお勧めしません。

ブリッジのサドル(弦が乗るコマ)が錆びている場合は弦振動に影響しますし弦切れも起こしやすくなります。

錆落としで落ちないほどの錆びはヤスリで削るという方法もありますが前述したようにメッキを削るためさらに錆の出が早くなり常に磨くか交換時期が遠からずやってきます。

チェック項目としては

全体の汚れや錆び、パーツの破損、欠品、ネジの錆び、メッキのはげ

といったところです。

こちらも形だけでよければ中国製の安いパーツもありますがブリッジは演奏性や調弦精度に直結する重要パーツですので高精度のブリッジを購入して取り付ける意思がなければブリッジの不良は購入対象外です。

ブリッジのパーツ代はFRTなら30,000円以上、比較的安価なレスポールタイプでも3,000円くらいです。

交換費用は6,000円くらい、その他新品のブリッジの場合は弦溝切りなどの別料金も発生します。

◎最後に

以上見てきましたように重大な不具合ほど安いかわりにリペア代も高いので安くなった分がリペアでかかる様な具合です。

リペアの内容によっては外観に影響してしまいますし不具合の結果安いことが必ずしもお得ではない場合も多々あります。

特にギターは木部の不具合は修理しようが無い場合も多いです。

その反面、電装系はよほどの貴重なビンテージ以外は最でも全交換できるので個人的にはねらい目だと思っています。

ハンダ付けによる交換作業は難しくなく、ネット情報などを参考に書いてあるまま配線するならば電気知識も必要ありません。

前述しました様に取り返しのつかない失敗にはなりませんし、お得に買えるギターの候補がとても増えますのでぜひトライしてみてほしいと思います。

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