今回はストラップピンの取り付け穴の補強についてです。
ストラップとはギターを肩にぶら下げるための幅広の紐です。
それをギター本体に取り付けるためのピンがストラップピンで、ボディの一番後ろ(=ボディエンド)と、ネックの横や後ろ側に基本的には1本ずつあります。
そしてこのピンはボディの木材に木ねじ1本で取り付けられています。
高級ギターではめったに無いことですが、安価なギターになるとストラップピンがギターの重さを支えきれず、ねじ穴を広げていって取り付けが緩くなり、最終的にピンが留まっていられなくなります。
これがギターを提げている状態で起きればギターが落下し深刻なダメージを受ける可能性があります。
防ぐためには、ねじ穴が緩くなってないかピンを確認する癖をつけます。
もし穴が広がりかけている場合は
①ねじ穴を埋めて穴を開けなおす(難易度高、手間高、確実性高)
②ねじ穴に細い棒を埋めてねじを締める(難易度低、手間低、確実性低)
これらの方法があります。
①は手間はかかりますがしっかりとした補修が行えます。
手順としては
●ダメになった穴にひと回り大きい穴をドリルで開ける
●穴と同じ径の硬い木材をしっかり接着する
●ストラップピン用のねじより小さめの穴をドリルで開ける
●ねじをねじ込む
となります。
この方法は少し大きめの穴を開けて埋める為、ストラップピンに埋めた木材が隠れきれない場合外観が少し変わってしまいます。
②は良く紹介されている方法で、私も1本目のギターだけはこの方法で補修しました。
手順は
●広がった穴よりも少し細い木材の棒(つまようじが良く例に出ます)を穴に入れます
●穴よりはみ出た部分を少し多めに切り取り、穴の深さより少し短くします
●穴に棒をいれたまま、ねじをねじこみます
こちらは手軽なのと、後で本格的に修理したい場合もリカバリーがしやすい利点があります。
しかしながら、私的にはどちらの方法も用いていません。
①は手間がかかるのと、多少なりとも外観が変わるのが嫌だからで、②は特別嫌な理由はありませんが、以下に紹介する予防策を全てのギターに施しているのでやる必要がないからです。
瞬着による緩み防止のためのねじ穴補強(非推奨)
これから紹介する補強策はあまり紹介されていませんし、失敗するとギター本体に取り返しが付かないダメージがある為、全く推奨しません。
しかしながら確実に効果があり手間も少ないため、私はほぼ全てのギターにこの処置を施しています。
手短に書くと、瞬着(瞬間接着剤)でねじ穴の内側を補強する方法です。
以下詳しく説明します。
①まずストラップピン用ねじを抜き、ねじにグリスをたっぷり塗ります
②交換したギターの6弦を扱いやすい様に短く切ります
(太目なのと巻き弦なので瞬着が絡みやすい)
③瞬着をギター弦にまぶし、穴に入れます
ねじ穴の内壁面に瞬着を塗るイメージです
④何度か繰り返し、内側の壁面にまんべんなく瞬着をいきわたらせます
⑤グリスをたっぷり塗ったねじを素早くねじ込み、素早く逆に回して抜きます
いくつかコツがあります。
●瞬着はかなり無駄にするので、百均の使い切りミニタイプの瞬着を使います。
●ラッカー塗装の場合は特に、瞬着がボディの塗装面に付くと白く濁り、修正が非常に困難になります。
●ラッカー塗装のギターに行う場合は穴の周りのボディに触れないように、4弦などより細い弦を使う場合もあります。
●逆にそこまで重視していないギターは、つまようじに瞬着を付けて一気に奥まで入れ一度で内側全てへの塗布を済ます事もあります。
●瞬着が固まってからねじをねじ込んだ方が、ねじが固まって取れなくなるリスクが少ないです。
●しかし硬度が高すぎてねじ穴が埋まってしまうとねじが入れられなくなることがあるため、私はグリスを多めに塗ったねじをすぐねじ込み、ねじ穴を確保しています。
失敗すると手痛いのでお勧めはしませんが、かなりしっかり補強できます。
そして一度もねじ穴が広がったことはありません。
ちなみに、強度を必要としないパーツを留めている小ねじ類は、一度抜いてグリスを少量塗布した上で締め直しています。
これは、
●フェンダーのカスタムビルダーが非塗装面からの吸湿を嫌ってこの処置をするという記事を読んだから
●古いギターでねじが内部でさびて、ねじを外す際にねじが折れ、内部に残ってしまうことがあるため、それを防ぐ目的があるから
です。
完
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