15.◎エレキギター初級 ~ネック調整

ギターのネック Uncategorized

ギターの弾き心地を決める要素にネックの状態があります。

少し難易度は高いのですが、ネックの調整をせずに弦高調整やピックアップ高調整をしても効果的な結果は得られにくいため解説をしていきたいと思います。

そもそも現在のギターの状態に不満が無ければとりあえず練習に専念したほうが良いかもしれません。

しかし状態が悪いままそのこと自体に気付かず弾きにくい状態を自分の腕や努力不足と思いこんで挫折してしまう事もあり得るので難しいです。

地域によっては難しいのですが調整されたギターを弾いて自分のギターと比べてみるのが良いと思います。

楽器店が近くになければリサイクルショップなどで詳しい人がいれば聞いてみても良いと思います。(自称詳しい人のレベルがまちまちなのが欠点ですが)

調整方法自体は難しくなく、ネックに元々埋められている「トラスロッド」という棒(ロッド)を回すというものです。

トラスロッドとは古いアコースティックギターなど以外はほぼ全てのギターに実装されています。

埋め込まれた湾曲した金属棒を外部から回せるようにしてネックの木材の反りを強制的に修正する機構です。

難しいと感じる原因は

①現状の確認適正な状態の見極め

②トラスロッドの回し方

です。

また、絶対にしてはいけない事は

ⓐロッドの調整ネジは絶対にナメないように適正な道具を使う

ⓑロッド折れを防ぐため一気に回しすぎない

です。

順番に見ていきます。

①現状の確認

現在のお手持ちのギターのネックの反り具合を判断します。

当然ですが現状適正であればネック調整は必要ありません。

厳密に言えばネックの反り具合だけでなく、ネックがねじれていたり、波打っていたり等の状態異常も判断します。

まずギターのチューニングを行います。

前回弾いたとき合わせていると思っても再度チューニングしてください。

チューニングが完了したらギターを弾くときと同じ状態で構えます。

注意点はテーブルなどに置いて判断すると、ネック自体の重みで地面の方向に曲がっている事がありますので必ず弾くときと同じ状態で判断してください。

ギター
このように置いて状態を判断するとヘッドが重みで下がりネックが「逆反り」になってしまう

目視で指板を横から見て真っ直ぐに張られている弦をガイドにしてネックが曲がっていないかを見ます。

ヘッド側が起き上がってギター前面にお辞儀をしている様な方向に反っている状態を「順反り(じゅんぞり)」逆にボディ背面側にヘッドが反っている状態を「逆反り(ぎゃくぞり)」と言います。

明らかに反っている場合以外は多少わかりにくいとは思いますが、弦をガイドにする見方だと比較的判断が付きやすいのではないかと思います。

次に任意の弦を、左手で1フレット、右手親指で最終フレットを押さえます。

そのままの状態で右手人差し指で12フレットを軽く押さえます。

人差し指を離したり少し勢いよく押さえたりした時、隙間があればカチカチと音が鳴ります。

この隙間がハガキなどのカード1枚ぶんくらいだと、極わずかに順反りで最も良い状態とされます。

全ての弦で試した後、問題が無い様であれば今回の調整は終了です。

弾きにくいと感じているのであれば、弦高調整を行ってください。

②トラスロッドの回し方

これは2つハードルがありロッドを適正な状態になる様に回すこと自体もですが、ロッドを回す箇所へのアクセスと回す道具の選定も注意点です。

●回す場所へのアクセス

ロッドを回す場合画像のレスポールの様にペグとナットの間に小さなネジがあるフタがあれば、ロッドはその下にありアクセスは容易です。

またメーカーによってはこのネジを外さずにロッドカバーをスライドさせて開けられる様な機構を設けているものもあります。

ギターヘッド
小さなネジ2つを外しカバーを外すと開口部にロッドが見える

またストラトキャスタータイプの一部は上記レスポールと同じ位置に、カバー無しでロッドが見えるものもありアクセスは非常に良好です。

ギターの弦交換
ナットのすぐ側にある黒い部分が開口されており、覗くとロッドの調整ネジが見える

フェンダー社製ギター(またはそのコピーモデル)で、上記位置に開口部がないまたは開口部に埋め木がされていて開口されてないギターがあります。

ギターのヘッド
ロッドの開口部が無いギター(ロッド自体はあります)開口跡に別な木材で埋め木されているものもある

このタイプはロッドへのアクセスは面倒なのですが、強度面で有利です。

ナット部分はネックの中でも最も細い部分であり且つ穴が開いていればさらに強度は下がります。

またその理由の為音響的にも有利と捉える見方もあります。

ロッドへのアクセスは、まず弦を外してネック自体を外します。

ボディとネックがネジを外しても取れにくい場合が力ずくで外したりせず慎重にゆっくり外してください。

①ロッドを回し②ネックを取り付け③弦を張り④反り具合を確認後、良い状態でなければネックを外すところからやり直し、と非常に面倒です。

近くに楽器屋がありお金に余裕があれば頼んだ方が早いです。

自分でやる場合、弦を外してロッドを回してまた弦を張るのが面倒なだけでなく外してしまった弦はペグに巻きにくく再利用しにくいと思います。

そこでカポ(カポタスト)を利用します。

適当な位置に演奏時と同じ要領でカポを取り付けます。ローフレット(5フレットあたり)が良いと思います。

その状態でネックを外したりしても作業に差支えの無い状態まで弦を緩めます。

こうすることによってペグから弦は外れないため再度ネックを取り付けた後もその弦を使用できます。

反りを見るとき以外はカポは付けたままで良いでしょう。

私はカポを演奏でほとんど使わないのでワンタッチで取り付け可能なカイザー社製を使用しています。

この方法はネックを外す作業以外も、ピックアップ交換時なども弦を無駄にせず作業が行えます。

弦を張ったばかりで廃棄したくないが新しいピックアップを入手したので取り付けてみたいと言った場面やエスカッションを交換したいなど、通常では弦を外さなければ行えない作業時に便利です。

カポで押さえたままペグを回すことにフレットのダメージが気になる人はクロスなどを挟むと良いでしょう。

ロッド調整作業の一部だけですが面倒さが無くなります。

カポタスト
このようにカポで押さえたのちペグで弦を緩めるとポストから弦が外れない

●トラスロッドを回す器具

ヘッド側にトラスロッドのアクセスがあるギターは

Ⓐヘックスレンチで回すタイプ・・・棒に六角の穴が開いている

Ⓑパイプレンチで回すタイプ・・・棒自体が六角の断面をしている、先がすぼまっている(先の丸い六角推)

の2つのタイプがありどちらもアメリカのインチサイズと日本・英国・ドイツなどのミリサイズがあり注意が必要です。

インチとミリで近いサイズがあり何となく回ってしまいますが六角の角が潰れて(ナメて)しまい2度と回せなくなる事があります。

こうなるとロッド調整が出来なくなります。

機種名などで検索したりメーカーに問い合わせるなどしっかりリサーチしてください。

またネックを外すタイプはプラスネジに見えるものが埋まっていますがプラスドライバーを使うと高確率でネジをナメます。

マイナスドライバーの、ヘッド幅が太くてネジにしっかり合うもので、かなり力が要りますのでグリップ自体も太くてシャフトが短いものを用意してください。

家にある安いドライバーなどで作業せず、取り返しが付かなくならないよう一本購入することをお勧めします。

●回す方向

現在逆反りの時で順反り方向に動かしたい時はロッド調整ネジを時計回りに回します。

逆に順反りを逆反り方向に調整したい場合、ロッドの力で調整するのではなく、ロッドのかかる力を無効化して弦のテンションなど木の自然な反りに任せます。

双方向に利くロッドも存在し逆反り方向にも積極的に調整できるギターもありますのでご自身の機種を調べてみてください。

●回す量

木材に湾曲した金属棒で強制的に修正する機構上、回してすぐ修正の効果が出ない場合があります。

1回転の1/4ほど回してしばらく様子を見るという風に時間に余裕を見て取り組んでください。

冒頭に絶対にしてはいけない事としてⓐネジをナメないⓑ回しすぎて折らないと書きましたが実際に起こりやすいのはネジをナメる事です。

少し負担に感じるかもしれませんが工具はしっかりしたものを購入し、慎重に作業しましょう。

コメント

タイトルとURLをコピーしました