今回のテーマは「エレキギター安く買う方法」ですが「楽器屋さんで売っている新品ギターを値引きする」ではなく私がよく利用している「リサイクルショップ」で中古を安く買う方法です。
新品じゃなきゃイヤだ!と言う人はスルーしてください。
具体的な方法の前に前提となるお話をします。
◎エレキギターにおける「中古」の位置づけ
エレキギターの価格的な最高峰はギブソン社の1958年から1960年の間だけ1,500本ほど(諸説あり)製造されたレスポールモデル(通称バースト)でもちろん中古品ですが現在の価格は2~3千万円です。
なぜこれ程高額なのかは割愛させて頂いてエレキギター界は古くて弾きこまれていて木材も適度に乾燥している中古に対する偏見があまりありません。
いわば「馴らし運転」を前オーナーがしてくれていて「すでにある程度良い音がする(可能性がある)楽器」という位置づけです。
◎リサイクルショップが安い理由
まずお話ししたいのは中古楽器の価格は「購入後の信頼度に比例している」と言う事です。
中古楽器を買う際安い順に並べると(例外はありますが)
リサイクルショップ<楽器店
となります。
楽器店はネットにしろ実店舗にしろ専門店という看板がありますし専門店である以上アフターサービスも充実しています。
新品でないからと言って自分のお店で買った楽器が不良で持ち込まれた時に無視するお店は無いでしょう。
その為、販売後の不具合は信用や沽券に関わりますし再度調整する手間とお客さんからの不満を考えるとしっかり調整したものを販売します。
対処のしようがない不具合に関してはきちんと表記して割安で販売します。
一方リサイクルショップでは買い取った物は外部を拭くなどのメンテナンスは行いますが内部の配線などに詳しい人がいない場合があります。
(注)リサイクルショップ様を貶める意図はありません。むしろ楽器店よりよく利用しています。
よって
●わかる人が見ればわかる不具合を気付かずに通常の中古価格で販売している(割高)
●すぐ直せるような不具合を重大なものとしてとらえ格安で売っている(お買い得)
というケースが発生します。
もちろん
●リサイクルショップを名乗って他の中古品も置いてはあるが実質楽器店で陳列などが専門店なみ
●通常のリサイクルショップだがたまたま詳しい人が楽器担当でメンテナンスもしっかり行っている
等のケースはリサイクルショップの中でも売価は楽器店に近く商品はしっかりメンテナンスされている場合が多いです。
しかし大抵は機種名や中古相場などネットで調べられる範囲の知識はあっても内部構造や木材の状態などには未対応な場合が多く前述したような「割高」「お買い得」品が発生します。
以前見たリサイクルショップでは弦が消耗品である事を知らないらしくプライスタグに「弦が切れている為特価」と書いてありました。
◎実際の購入判断ポイント
実際に購入する際はどういう所を見れば良いのかを記述します。
●外観1 ~全体
初見でわかる事は全体の傷や塗装の剥がれなど外部ダメージです。
この点はどこまでが許容範囲かは人によります。
中古と言えど新品同様が良いか、傷だらけでその分お値打ちなのが良いかです。
傷の中でもパーツ取り付け部に近くゆくゆくはパーツ取り付けに支障が出そうな割れや、ストラップピン周りの傷は要注意です。
ストラップピンを指で回してみて空回りするようだと自分で直せない場合はマイナスポイントです。
ボディ傷は音や演奏に関係ないとはいえ安価なギターにたまにあるボディがゆで卵の殻の様に板状に剥がれているものは私なら避けます。
修復の見込みも味のある傷にもならないからです。
●外観2 ~ネック回り
次に見るべきポイントはフレットの減りとネックの反りです。
フレットは少し減っているくらいなら試奏して出音に問題が無ければ購入する場合もありますがあまり減っていると良くても摺り合わせ、悪いとフレット交換になり5万以上の出費になります。
どのくらいの減りが買うべきでないか判別が付かない場合は減っていると認識できる状態であれば購入を避けた方が良いでしょう。
いずれにしてもよほどのレアモデルが格安などでない限り積極的に選ぶ理由はありません。
ここがダメな場合は他の箇所を見ずに購入選択から外します。
次にネックの反りです。
弦をガイドにして弾く時と同じ様に構えてネックを見ます。
波打ちなどの違和感があればボディエンド側(下)から覗いて見るなどします。
そして試奏の前に店内のBGMがうるさくなければその場で全フレット音を出してみます。
そしてネックは反っているがそのギターが欲しいと思ったのならばスタッフに「トラスロッドの残りはどれくらいですか?」と聞いてみましょう。
ここで曖昧な返答や言葉の意味自体解らない様であれば購入は控えるべきです。
経験者であってもトラスロッドが回りきっている場合の対処は難しくネックアイロン、ブリッジの調整などで使用できる状態になる場合もありますが費用が高額であったり必ず満足できる状態になるかはわかりません。
「ロッドに余裕がある」とは、まだトラスロッドを回す余地があり反りに対応できる可能性がある事を示します。
しかし今後も反り続けてロッドの限界を超えるかもしれません。
事実何度調整しても反り続ける個体を買った事があり再度売るのもはばかられたので実験用ギターにしました。
ここでも条件をクリアしてなければ検討終了です。
●外観3 ~パーツ壊れ
外観でわかる範囲で重要な点はパーツの交換や壊れです。
リサイクルショップの場合は楽器店で中古を買う場合以上にパーツを見る必要があります。
あまり知識のないリサイクルショップだと重要な部品が無いまま売っていたりします。
FRTのロックナットキャップが無いなどは買えばいいだけですが無いと本来の状態にならない上に本物購入だと結構高いです。
中国製のコピー品で良ければ安く買えます。
コピー品はロックナットキャップの頂点が平型になっているものもあるので注意してください(本物・ライセンス品は太さの異なる2本の弦を押さえるためにトップが山型になっている)
これなどはまだマシでナット自体がない、ナットの1弦の外側が欠けていて1弦を保持できていないといった個体を見たことがあります。
これは通常あり得ない欠品なのでそういう事態を想定してないと気付かない恐れがあります。
これなども本来ナットは弦溝の深さや幅、弦を保持する角度などがチューニング精度や演奏性に影響する重要なパーツでプロのリペアが必要ではありますがナットを買ってきてポン付けしてとりあえずの恰好にする事もできなくはありません。
他にもプラスチックパーツの割れや劣化など外観だけでなくポットやレバー類やペグなど可動部は全て実際に動かしてみましょう。
動きが硬かったり固着して全く動かなかったり内部で断線していてポットが手ごたえ無くくるくる回ったり、特定のペグの動きが悪い、セレクターの動きが異様に固いなどが見るべきポイントです。
ネジ類が異様にさびている場合も新品のネジに換えようと外すと最悪ボディ内部の途中で折れたりパーツが分解できないなどという事態になる事もあります。
●外観4 ~パーツ交換
これは必須チェックポイントでは無いのですがパーツが交換されている場合があります。
元が安価な初級ギターの場合は前オーナーがパーツをグレードアップしているケースがありお得です。
特に多いグレードアップは初級ギターにセイモアダンカンなどのピックアップが取り付けられているケースです。
FRTがライセンス品ではなく本物が付いている、同じフロイドローズでも上位のものが付いているなどもお買い得です。
こういうポイントは知識のあるリサイクルショップでないとわからないため通常の初級ギターとして安く売っていたり他の部分が壊れていてジャンク品として売っていたりしてパーツ代だけで考えてもお買い得な場合があります。
逆に中級機(人によって意見は違いますが定価7万くらいから15万くらいと考えています)以上のギターだとパーツがグレードダウンされて売られている場合があります。
これも知識のあるショップや楽器店だと「◯◯に交換されています」と明記して割安で売っていますが、知識のないお店だと持ち込まれた状態で悪意無く通常の中古価格で売られていたりします。
例としてデフォルトで高価なピックアップが付いているモデルが交換されていないか確認したかった為、問題が無ければ購入する事とピックアップが購入動機な為家に帰って分解してみてグレードダウンされていた場合返品に来る時間が無駄である事を伝えて、店長了承のもとで店頭でピックアップを外して裏側のメーカー名を確認してから購入したことがあります。
この場合も知識のあるショップやスタッフだと事前に確認済みで交換の有無を即座に答えてくれたりします。
ショップ自体がギターに力を入れてなくても詳しいスタッフが居れば呼んでくれるでしょうし何でも聞いてみることが大事です。
●試奏 ~出音(でおと)のチェック
以上がクリアまたは妥協できると判断できればいよいよ試奏です。
リサイクルショップだと楽器店の様に
「上手いなぁ、一緒に弾きたくないなぁ、早くいなくならないかなぁ」
と思う人はあまりおらずほとんどのお客さんがギターに無縁っぽい人なので自分の下手さを上手い人に見られないのが良い点だなぁと常々思っています。
ただし農家風のおじいさんがアコースティックギターでびっくりするくらい上手に弾きだしたのに遭遇したことがありますので油断は禁物です。
私の下手さはさておき、始めたばかりの人でも臆せずぜひ音出しをしてみましょう。
まずはチューニングがスムーズにできるか確認します。
楽器屋さんだとチューニングを自分でしたい旨を伝えなければ基本的には完璧に音合わせをしてくれますがリサイクルショップでは基本「勝手にやって下さい」スタイルです。
アンプの前に連れていかれシールド、ピック、チューナーはそこにありますといった感じです。
気を付けないとチューナーの電池が切れていたりします。
また試奏室がある様なお店もあればレジ横でさらし者の様な状態で試奏する羽目になるお店もあります。
そしてポットやレバーなどを回したり弄ってガリの有無を見ます。
私の場合はポット交換であればポット代数百円しかかからないのでポットのガリは気にしません。
自分で交換が難しい場合はジャックにシールドを抜き差ししてみたりあらゆるガリをチェックしましょう。
ガリが自然に直る事は無く遠くない将来に交換が待っています。
そして好きなフレーズを弾く前に全てのフレットで音を出してみます。
音詰まりが無ければよく使うポイントだけでもチョーキングをしてみましょう。
チョーキングしたときだけ音が詰まる事はよくあります。
これは楽器屋さんでの試奏でも注意すべき点です。
●購入♪
ここまで問題が無ければスッタフさんを呼んで購入する旨を伝えます。
リサイクルショップだとケースが付いていない場合もありますので無い場合はそのまま持って帰る、最初からケースを持参する、ジャンクコーナーで安いケースを一緒に買う等の対策が必要です。
私の場合はジャンクコーナーで300円ほどで買ったベースのソフトケースを常に車に積んであります。多少ヘッドが長いなどのモデルやお買い得なベースも入ります。
以上記述してきましたが知識や経験のない初心者のうちはあまりリサイクルショップはお勧めしません。
そのショップが知識があって任せられるのかどうか自体も最初は判別がつかないと思いますのでお買い得品ゲットどころか安物買いの銭失いになりかねません。
経験者と見に行くなど上手に利用して楽しいギターライフをお過ごしください。
追記 リサイクルショップをディスる意図は全くありません。私はリサイクルショップ大好きでかなり散財しているくらいです。
完
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