ギターを弾いていてなんとなく歪みの乗りが悪いと感じたり、クリーントンがすっきりしないと感じる事はないでしょうか。
周辺機材のセッティングや弾き方に原因がある場合もありますが、ひょっとしたらピックアップの高さが原因かもしれません。
今回はピックアップ(PU)の高さ調整についてお話しします。
目次
◎ピックアップ(PU)高さ調整のメリット
◎PU高さ調整の前に
◎PU高さ調整のやり方
◎PU高さ調整の基準
◎ピックアップ(PU)高さ調整のメリット
冒頭で書きました様に演奏上の音の違和感の原因を探るのが目的です。
高さには一定の基準はあるものの正解はありません。デメリットとされるものであってもその音が好みであれば自分にとっては正解となります。
これを踏まえたうえで高さを変えてみることはより自分の好みの状態に近づけるかもしれない作業だという事です。
●「PUの高さが高い」とは「弦とPUの距離が近い」状態を言います。
この状態ではPUの磁力の影響を強く受ける為
・音が大きく、太くなる
・低音が強調される傾向がある
・エフェクトで歪ませた時の乗りが良い
・クリーンの音がこもる
・サステインが弱くなる
と言う状態になります。
●逆にPUの高さが低いと
・音が小さく、細くなるの
・高音が強調される傾向がある
・歪みの乗りが控えめ
・クリーントーンが綺麗に出る
・サステインが長くなる
になります。
歪みの乗りが控えめなのは決してデメリットではなく歪み量が同じでも
・高出力のPUで軽い歪みを掛ける
・低出力のPUで強い歪みを掛ける
でのは音色が違いどちらが良いかではなく好みや出したい音によるという事になります。
◎PU高さ調整の前に
この調整の前の前提として弦高調整やネック調整、トレモロ調整、オクターブ調整を済ましておきます。
これらを変えると場合によっては本調整を再度行う事になるからです。
弦高が低い状態とPUの高さが高い状態は場合によっては同じ状態と言えますが弦高調整は弾き心地を変える要素、PUの高さ調整は音色を音色を変える作業です。
調整前に、元に戻したくなった時の為に弦からピックアップとポールピースの距離をメモしておくと良いです。
PUにはポールピースいう部分がありますがポールピースと弦の距離を調整します。
シングルコイルPUの場合、スタガードポールピースと言うポールピースの高さが不ぞろいな機種があります。
スタッガードとも表記し「ジグザグの」「互い違いの」と言う意味で、フィンガーボード(指板)のR(断面から見たカーブ)がきつく3弦が巻き弦(現在はプレーン弦)だった頃のPUで現在売られているものの大半は当時物のコピーです。
巻き弦は見た目の太さより芯線が細い為弦振動のパワーも弱く、それを補うため3弦のポールピースが高くなっています。
この場合はPU自体の高さを合わせてから微調整します。
◎PU高さ調整のやり方
PUの左右にあるネジを回し弦との距離を調整します。
前述しました様に基本的にはポールピースと弦の距離です。
プレーン弦は問題ありませんが巻き弦は厳密には芯線からの距離という事になりますが、大切なのは数値では無く音色が好みかなのでわかりやすく弦の下端で良いでしょう。
定規(スケール)は端にメモリが無いタイプを利用するか、金属の巻き尺を使用すると良いです。
巻き尺の端が動くのは、端を引っ掛けて図る場合と端を押し当てて計測する場合の誤差を無くすための機構です。
◎PU高さ調整の基準
アンプから音を出します。
歪み系はもちろん、コンプなどもかけずに弾いてください。
モデリングアンプなどはクリーンにもエフェクトがかかっている事がありますので注意してください。
ご自身がよく使用するPUにセレクターを合わせ音を出し、先述のご自身が良いと感じる音になる様に調整します。
その後、別のPUを合わせていきます。
一般的にはブリッジ(リア)PUの音を基準に、ネック(フロント) PUの音量をそろえます。
演奏上の特別な理由がなければフロントとリアの音量バランスを揃えるようにします。
これも好みなので絶対ではありません。
フロントPU上の弦振動は、振動発生の根元に近いリアPU上のものよりも大きいためフロントPUの方が低くなる場合が多いです。
メーカー出荷状態だとこの辺が考えられていてリアPUの方が出力の高いPUが搭載されていることが多いです。
センターPUがある場合はフロントとリアの中間にすることが多いですがセンターの使用頻度の少ない場合はピッキングの邪魔にならないように下げきって使う例もあります。
また音色の判断基準としてはハーフトーン(フロント+センター、またはリア+センターを組み合わせた音色)の出音で判断する場合もあります。
レスポールの様にエスカッションを介したPUはネジを緩める方向に回し過ぎるとPUからネジが外れます。
そうなると弦を緩めてエスカッションを外して調整ネジを付け直さなければならない上に上下動調整スプリングを入れてPUにネジを入れ込むのは非常にめんどくさいのでエスカッションと面一(ツライチ)以下にはPUは下げないようにしましょう。
ハムバッカーPUの場合は6本のポールピースが可動できるようになってる場合がほとんどですので微調整が可能です。
下の2つの画像はカバーの有る無しで同じハムバッカーです。
機種によっては全てのポールピースが固定のものや12本すべてが可動式のものもあります。
必ず動かす必要はありませんが弦ごとの音量が気になる場合はマイナスドライバーやヘクスレンチ(PUによって違います)で調整してください。
上下させた場合の音の変化はPUの上下動と同じです。
エスカッション(ハムバッカーの枠)を介さないボディ直付けのダイレクトマウントされたPUの場合はPU下にウレタンスポンジやネジ留め部へのスプリング配置が必要になります。
ダイレクトマウントの特長が減じられますが調整が必要な場合は検討してみてください。
私はPUの共振を止める目的で全ギターのPUにウレタンを入れています。
ウレタンは時間が経つと反発力が落ちる為適宜交換が必要になります。
◎PU高さ調整の基準
最終的には好みと書きましたが一般的に基準と言われる数値を記載します。
しかしあくまで最終判断はご自身の耳である事を念頭に作業されてください。
最終フレットを押さえた時のポールピースと弦の間で測ります。
●シングルコイルPU
フロント 1弦=2.5mm/6弦=3.0mm
センター 1弦=2.3mm/6弦=2.8mm
リア 1弦=2.0mm/6弦=2.5mm
●ハムバッカーPU
フロント 1弦=1.5mm/6弦=2.5mm
リア 1弦=1.5mm/6弦=2.0mm
シングルコイルPUの場合はポールピース自体に磁力がありますがハムバッカーPUはプレート上の磁石の上にポールピースがある構造なのでポールピース上の磁力が違うので数値に違いがあります。
以上調整法を見てきましたがその時々や演奏ジャンルの変化などにより求める音像・音色は変化します。
周辺機器であるエフェクター等を買い替える前に、ギター本体のセットアップを見直すことはとても重要であると言えます。
完
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