前回(42)は指板の代替材について木材を取り上げお話ししました。
今回は指板代替材の人工材についてです。
◎ローズウッドの代替材(人工材)
代替材についてはメーカーが詳細を公表していないものもあるため情報が正確でない可能性がありますことをご了承の上お読みください。
◎テックウッド(Tech Wood)
ポプラ材などの安価な木材と接着剤を何層も積層して接着した人工材です。
安価で安定した供給が出来るためローズウッドの規制問題により急速に普及しました。
ポプラはエントリークラスのギターのボディ材にも用いられ比較的柔らかい木材ですが硬質の接着剤との積層により指板への使用に耐え得る強度を得ました。
また他の人工材と異なり1材ごとに異なる自然な木目が出ることも特徴です。
湿度の影響を受けやすいようですがオイルの浸透率はあまり良くない様です。
サウンド特性としては使用されるギターの価格帯の面からも評価は定まっていない様です。
◎ブラックウッドテック(Blackwood Tek)
ラジアータパインという栽培木材を天然素材のみを使用して圧縮した人工材です。
木目も自然で木材に詳しい人でなければこういう木だと思うのではないでしょうか。
アフリカンブラックウッド(アフリカ黒檀)とは別の人工材です。
密度と硬度が高く耐湿性にも優れメンテナンスの手間は少ないです。
見た目も音響特性も非常にエボニーに近く、個人的には様々な人工材の中では最も自然木に近いと思います。
◎リッチライト(Richlite)
木材は一切使用せず再生紙を樹脂で固めて着色した人工材です。
素材としては古くからあり産業用途に用いられたようです。
硬度も高く安定しており基本的にメンテナンスフリーです。
木材が枯渇していき真っ黒で木目の目立たない上質なエボニー材は入手が困難になりました。
リッチライトは完全人工材なので木目は無く着色の為色も真っ黒で一見最上級のエボニーの様です。
上質なエボニーは磨けば黒光りする鏡面の様になりますが自然材ゆえの多少の木目などがあります。
対してリッチライトは全く木目がないのでやはり人工的な違和感はあります。
しかしながら違法にエボニーを輸入して木材を没収されたギブソン社と環境保全の観点からマーティン社がリッチライトを採用していますが業界大手2社が様々な材を検討した上で採用している事は特筆に値するでしょう。
次回は代替材とは違いますがサーモウッドについてお話しします。
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