46.エレキギター初級 ◎ボディの種類

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前回はボディの素材のお話しをしましたが今回は構造について記したいと思います。

◎ボディの種類

エレキギターのボディの種類は大きく分けると

●ソリッド
●ホロウ

に分けられます。

「ソリッド」とはキャビティ(ピックアップやセレクター、配線などのサーキット一式)のザグリ(パーツなどの取り付け用の掘り込みやくぼみ)部分以外は空洞が無い

ボディ構造です。

対して「ホロウ」はボディの一部又は全部が空洞になっているタイプです。

そしてこの2種のなかにさらに細かく分類があります。

●ソリッドボディ

一本の木材から採った無垢材の他、強度(ネック)や音質(ボディ・ネック)の面から異種の木のラミネート、材のコスト面から同種材のラミネートがあります。

繋げる木の方向によりヘッドを上にして縦割りの「ピース」と前後割りの「プライ」があります。

ピックアップなどのパーツはエスカッションを介してボディに直接取り付けられる他、直付け、パネルを介しての搭載があります。

パネルによるパーツ搭載の代表的なギターがストラトキャスターでジャック部以外はピックガードの裏側にネジ留めで配置されメンテナンス性が高い構造です。

縦分割、前後分割のほかにネック構造にも関係する「ウイングボディ」があります。

これはヘッド上端からボディの下端までが1本の材からできている「スルーネック」という構造に伴う形のボディ構造です。

ネックが1本の材というのは単一の木材という意味ではなくネックも強度向上のため3~5ピース構造になっているものもあります。

そのボディまで貫通するネック材をサンドする形で両脇にボディ材が貼り付けられています。

これはボディ構造としてウイングと呼ぶことはあまり無く、スルーネックであるというネック構造に付随する形で話題にされる事がほとんどです。

※下の画像はベースですが5ピース(3種+2種の木材)のスルーネックです。

スルーネックのギター、ベースはこのようにスルーネックであることをアピールするかのようなカラーリングになっていることがほとんどです。

●セミソリッドボディ

内部が空洞になっているという点で後述のホロウボディのギターと似ているのですがサウンドホールの開口がない事が特徴です。

本体重量や音質が軽い以外はスペック表を見るしかありません。

下記のホロウボディのギター群との違いは板状パーツで箱状に組み立ててあるホロウボディのギターに対して、ソリッド構造で作成したうえで内部をくり抜きフタをした構造な点が異なります。

●ホロウボディ

フルアコースティックギター(=フルアコ)とセミアコースティックギター(=セミアコ)があります。

2つの総称の通称として「箱(=ハコ)モノ」と呼ばれることがあります。

●フルアコ

この名称を聞くと「アコースティックギター(=アコギ=フォークギター)」のことかと思ってしまいますがエレキギターの仲間です。

そう呼ぶ決まりだから、としか言えませんが全く違います。

アコースティックギターは内部が空洞というより板を組み合わせた箱状のボディで基本的にボディ内部空洞で反響された音を聞かせる構造です。

対してフルアコは音をピックアップで広いアンプから出力するのが前提です。

空洞のボディ構造は空洞の反響音そのものを聞かせる意図の構造ではなくホロウ構造のボディ鳴りを含んだ弦振動をピックアップで拾うのが目的です。

アコースティックギターにピックアップを付けたエレアコ(エレクトリックアコースティックギター)という機種もありますが出す音の主体が何かで考えると区別がつけやすいのではないかと思います。

●行動の響きを聞かせるアコースティックギター、その空洞の反響音をアンプで増幅するのがエレアコ。

●ピックアップが出力した音をアンプで拾うのがエレキギター、そのピックアップからの音色を変えるためにボディ構造を空洞化したものがフルアコやセミアコ(後述)です。

後述のセミアコに比べてボディが全部空洞になっています。

内部が空洞構造なことでアタックや音質が柔らかい事が特徴です。

またサステインが短いことも特徴ですがサステインは長いほど良いわけではなく音楽ジャンルや演奏法、曲によってはサステインが邪魔な場合があり演奏する楽曲にマッチしたギターを選ぶ事が大切です。

アコースティックギター(フォークギター)はたいていボディの真ん中に穴(サウンドホール)が開いていますがフルアコはピックアップを搭載している為ホールはトップ面の両サイドに開いています。

穴はその形状から「f(=エフ)ホール」と呼ばれ合理的な理由からその形が採用されています。

複雑な内容なので説明は割愛します。

空洞構造の出音面のメリットのみを得るためエフホール形状の塗装がされているだけで開口されていない機種もあります。

空洞であるが故ブリッジの取り付けに制限がありソリッドのエレキのようなボディに打ち込むタイプのブリッジが取り付けられません。

テールピースもボディ上面を這う造りでありブリッジはボディの上に乗せる形で搭載されます。

この部分がセミアコとの外見上の大きな差異であり見分ける最も簡単なポイントとなっています。

出音の主体はあくまでアンプからの出力ではありますが生音(なまおと)もそれなりに大きく家庭内での練習ではアコギ的にアンプ無しで演奏を楽しむことも可能です。

ただしあくまで楽しむ場合でありアンプを通さないと身に付かない奏法や演奏上のコツ(ノイズを消すための部分的な弦ミュートなど)が身に付かないためエレキギターは基本ヘッドホンしか使えないとしてもアンプを通して練習すべきです。

ボディの鳴りを重視している為エレキギターの中では最も厚みのあるボディとなっています。

ハイフレット(ハイポジション)を多用するジャンルではあまり用いませんがネックの接続が強度上深く、ハイポジションへの演奏性はアコギなみでアクセスの良さでは他のボディ形状に一歩譲ります。

構造上ハウリングを起こしやすいことも弱点でありホールを塞ぐなどの対策が施されます。

若干の弱点はありますがギターの存在価値の最も大きいものは出音が好みかです。

フルアコは何よりホロウ構造であるがゆえの独特の音質が唯一無二の魅力であり様々なモデリング技術が発達した現代においてもその存在はゆるぎないものとなっています。

●セミアコ(=セミアコースティックギター)

ボディ内部が完全に空洞のフルアコに対してセミアコはネックからボディエンドに伸びる方向に「センターブロック」という木製の部材があります。

これにより音響上はフルアコの温かみとソリッドのサステインを同居させた出音になります。

またセンターブロックの存在によりソリッドと同じT.O.M.(チューン・オー・マチック)とテイルピースの組み合わせのブリッジが搭載できる事がチューニングや弦交換の簡便さと硬質寄りなサウンドに寄与しています。

フルアコと同じくエフホール(fホール)が採用されていますは空洞は音質の効果を狙ったものでは反響音としてはエレキに比べれば大きい程度で静かな室内で自分だけが聴くのには十分といった程度です。

サウンド特性もフルアコとソリッドの適度なエアー感を持ちます。

フルアコと比べた利点は

●ハウリングを起こしにくい
●ボディが薄い
●ハイポジションがそれなりに弾きやすい

センターブロックの存在によりボディ内部の空間体積が少なくハウリングに対しては一歩秀でています。

ボディ厚はフルアコとソリッドの中間ですがそこまで存在感のある厚みではありません。

ただしトップ面又はトップ面バック面の両方にアーチ加工がしてありサイドの寸法よりは厚く感じる機種もあります。

ボディ厚が薄い分、フルアコよりもトップ面の大きい機種が多く抱えた際の大きさは一番大きく感じるかもしれません。

ハイポジションへのアクセスはボディ厚の薄さとセンターブロックの恩恵によりネックのジョイント位置が浅く、ハイポジションの演奏性は機種によってはソリッドギター並みと言えます。

◎最後に

以上構造上の違いと特徴を見てみましたが出音に関してはやはりYouTubeなどで録音したものを聞くのと実際に自分で持ってみて感じた音はかなり違います。

試奏ができない環境下では出音で決めることは難しいですので弾きたい音楽ジャンルで使用されていることが多い機種、弾きたい曲をやっているバンドのギタリストが使用しているなどの情報を軸にして、予算や見た目の好みなどを考慮して選ぶのが次善の策だと思います。

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